老エンジニアたちの挽歌
学習塾エンジニアとしての最初のミッションは、生徒の学習を管理するシステムを作るだった。
最初は、やりがいがありそうだと感じたし、
将来性もデータ分析などができ、コンテンツを生み出すこともできるので、
期待ができると思ったが、この時点ですげー面倒なプロジェクトになるとは夢にも思わなかった。
メンバーは、50代の早期退職した元大手エンジニアのAさん、
60代のフリーエンジニアのBさん、アラフォーの私の3人。
世の中のエンジニアとしてはかなり平均年齢が高いと思う。
過去の経験から、こういう老エンジニアの方は、会社の中だと、
自分の居場所確保のために、アーキテクチャセットは二の次になりやすい。
事業主「どんな言語で開発しますか?」
私「現状、私含め、PHPのエンジニア中心なのでPHPでいいと思います。
PHPはまだ廃れてないので、問題ないですが、
フレームワークは使ったほうが効率的ですね。」
Aさん「・・・・」
事業主「じゃあどのフレームワーク使ったほうがいいか調べてください」
私「CakePHPが安定しているようですが、衰退傾向にあり、
Laravelが流行っている傾向にあります」
事業主「ほかのフレームワークも比較したいので、資料を作ってもらえますか?」
私「{面倒だな・・)まぁしかたないか・・」
Aさん「なぜフレームワークをつかわないといけないんですか?」
私・事業主「えっ?!」
私「いや、そりゃ効率的に開発できるからです」
Aさん「今の環境が使えなくなったりしますか?」
私「今の環境が、ノンフレームワークのPHPであれば動作しないことはないですが、
基本的には、使わなくなりますね。」
事業主「それは困ります」
私「今のシステムとは別のシステムつくるんですよね?」
事業主「今のシステムにフレームワーク入れられないですか?」
私「いや、入らないことはないけど、すごく大変ですよ」
事業主「なにが大変かはっきりさせたい」
私「{面倒だな・・なんて伝えりゃいいんだ・・)」
私「例えば、今フォルダを適当に作ってそこにPHPファイルを置いていると思うんですが、フレームワーク使うと、基本的に所定のフォルダに置いて、ルーティングっていう
URLと利用するPHPファイルを紐づける設定を記述する必要があります」
事業主「じゃあ、ファイルの置き場所変えれば、問題ないんですか?」
私「(おい、ルーティング・・)だめです」
事業主「それは困ったなぁ、フレームワーク入れられないんですか」
私「別にフレームワーク使わないっていう選択肢でも私は構わないので、
それだったら、フレームワーク使わないでいいんじゃないですか?」
A「フレームワーク使う必要がないなら、使わないでいいじゃないですか」
事業主「後日私が総合的に判断しますので、資料つくっておいてください」
A・私「わかりました」
こうして、後日、フレームワーク資料を作り、
会議が始まった。
私「Laravel ,CakePHP、FuelPhp、Codeignighter,Falconなどがあり、
軽量=CodeIgnighter
パフォーマンス=falcon
安定度=cakePhp
新しさ・機能性=laravel
といった感じです」
事業主「じゃLaravelで」
私「・・(へ、)はい」
事業主「Aさんはどう思います?」
A「いやよくわかりません」
事業主「Laravelのパフォーマンス問題点は?」
私「一番フレームワークの密度が高い反面、パフォーマンスが悪いといった感じです。
対策は可能だと思いますし、そこまでパフォーマンスが必要なWebシステムはつくらないのでは?」
事業主「そうですね、Laravelで」
こうしてLaravelを使うことが決まった。その結果、Aさんが守ろうとするレガシーPHPと、バチバチに争うことになると予感した。
なぜなら、Aさんはこの時点で、新しい技術セットに否定的だ。
そして事業主は、意思決定する際に面倒くさいが、
かつて会社の管理職にはこういう面倒な人はいっぱいいたので、とりあえず、
Laravelで始められることを幸運だと考えるようにしようと言い聞かせることにした。